【誕生石・守護石】バースストーンの由来と歴史

1月から12月まで、それぞれの月に当てはめられた誕生石。自分の誕生月の宝石に、特別な思いを抱いている方も多いのではないでしょうか。
誕生石のはじまりには諸説ありますが、古代の宗教的なシンボリズムに深く結びついているといわれています。特に旧約聖書に登場する「大祭司の胸当て」に関連する宝石がそのルーツとされています。この胸当ては、古代イスラエルの大祭司が神殿で使用する神聖な衣装の一部で、12種類の宝石が埋め込まれていました。これらの宝石は12部族に関連しており、それぞれが特定の部族や月を象徴していました。この12の宝石は、後に誕生石の基盤となり、月ごとに対応する宝石として解釈されるようになりました。
特に、ルビー、トパーズ、エメラルド、ダイヤモンド、サファイアアメジスト、オパール、アクアマリン、オニキス、パール、トルコ石、ガーネットのこれらの宝石は、それぞれが特定の月や星座、神話的な存在と関連していたため、誕生石の考え方が古代から存在していたことがわかります。
さて、前回のブログでは、【星座石・守護石】の種類と起源 誕生石と星座石の違い についてお話ししました。
今回は、1月から12月までのそれぞれの誕生日月にあてはめられた宝石、誕生石(バースストーン)の意味や歴史について取り上げていきます。
12ヶ月の誕生石が決まったのはいつ?誕生石の歴史について
それぞれの誕生月に誕生石があてはめられたのは、比較的近代のことです。
実際に「12ヶ月の誕生石」が定められたのは、1912年にアメリカの宝石商組合(国際宝石商協会)が行った決定によります。この決定により、誕生石が1月から12月の各月ごとに対応する宝石として公式に一覧化され、広く認知されるようになりました。
1912年以前にも誕生石の概念は存在していましたが、その形態や対応する宝石は国や地域によって異なり、統一されていなかったため、誕生石を指す明確な規定はありませんでした。例えば、イギリスでは、古くから「星座石」と呼ばれる宝石が使用されており、それが誕生石と同じような役割を果たしていたとされます。
アメリカで定められた誕生石の一覧には、現在広く認識されている宝石が並んでおり、国際的に通用する「誕生石カレンダー」の元となりました。その後、他国でもこのリストが採用され、世界中で誕生石が普及していったのです。
誕生石と星座石のちがいについて
前回のブログの内容になりますが、誕生石と星座石には、それぞれ異なる由来や目的があり、どちらも宝石に特別な意味や力が宿るという信念に基づいています。星座石も誕生石と同様に、12星座に対する12種類(またはそれ以上)ですが、誕生石はその名の通り、1月から12月までの誕生日付きにあてはめられます。実は、誕生石は星座石を元にしたもので、宝石がグレゴリオ暦の12か月を象徴するように修正されたものです。星座石はスピリチュアルな意味合いが強く、自分の性格や運勢に関連づけられますが、誕生石はシンプルに生まれ月を象徴する守護石としての意味を持ちます。
【海外の誕生石】誕生石は国ごとに異なる?その違いとは
誕生石は一般的に1月から12月の各月に対応する宝石として知られていますが、実は国によってそのリストに若干の違いがあることをご存じでしょうか?その違いの背景には、文化や伝統、占星術などが深く影響しています。今回は、国ごとの誕生石の違いについてご紹介します。
アメリカと国際基準(1912年制定)
アメリカでは、1912年にアメリカ宝石商協会が誕生石のリストを公式に定め、現在広く認識されている「誕生石カレンダー」の基礎が作られました。このリストは、特にアメリカで標準として使用されており、多くの国でも採用されています。例えば、1月の誕生石は「ガーネット」、4月は「ダイヤモンド」といったように、月ごとの対応が明確に定められています。
南アメリカ
南アメリカでは、特にインカ帝国時代の影響を受けた誕生石の伝統があります。エメラルドやアメジスト、トパーズが特に重視される傾向があり、これらの宝石は地元の文化や歴史と深く関わっています。さらに、アステカやマヤ文明の影響で、月ごとの宝石が決められた例もあります。
イギリス
イギリスでは、誕生石に関する伝統が少し異なります。たとえば、10月の誕生石として「オパール」が指定されることが多いのですが、アメリカでは「トルマリン」が一般的です。これは、イギリスの伝統的な誕生石リストが19世紀後半に制定された際に、オパールがその月の宝石として選ばれたためです。
インド
インドでは、誕生石のシステムが西洋のものとは異なり、ヒンドゥー教の占星術に基づいています。インドの占星術では、各月の誕生石が星座や惑星に対応しているため、インドではアメリカやヨーロッパとは違う宝石が指定されることが多いです。例えば、アメリカでは3月の誕生石は「アクアマリン」ですが、インドでは「ダイヤモンド」が選ばれることがあります。
中国
中国では、誕生石の伝統は西洋のものとは異なり、陰陽五行説に基づいて選ばれることが多いです。五行説では、宝石が持つ「エネルギー」や「気」を重要視し、それぞれの月に対応する宝石が決められています。そのため、例えば2月の誕生石として中国では「翡翠(ジェイド)」が選ばれることもあります。
日本の誕生石はどの国から影響を受けている?
日本の誕生石は、主に西洋(アメリカ・ヨーロッパ)の影響を受けています。
特に、1958年に日本宝石協会が誕生石を定めた際、アメリカの誕生石リスト(1912年制定)やヨーロッパの伝統に基づいて多くの宝石が選ばれました。このため、ダイヤモンド(4月)やサファイア(9月)など、世界的に広く認知されている誕生石が日本にも採用されています。
まとめ
誕生石の由来と歴史を紹介しました。誕生石には国によって意味や象徴が異なり、文化や占星術、宗教的背景が大きな影響を与えています。共通しているのは、誕生月の宝石を身につけることで特別な力や幸運を引き寄せるといわれていることです。ジュエリー(アクセサリー)として身につけると共に、古くから護符としても大きな役割を果たしてきた誕生石(守護石)。自分自身で身につけるのはもちろん、プレゼントや記念品としてもお喜びいただけます。
最後までお読みいただきありがとうございました。